2012年3月19日月曜日

川の語りを聞く ~川学校復活への模索

3/19伊里前川の清掃に取り組みました。群馬の遊び集団あるきんぐクラブさん一行が、ヤマ学校応援にきてくれ、参加しました。他にも歌津ボランティアリピーターだった方々が当日飛び入り参加してくれました。

子どもたちが遊べる水辺であり、春にはシロウオが遡上して伝統漁がなされる風物詩の光景がみられた、歌津の中心を流れる、山と海の命をつなぐ川。

 
福幸商店街の会長さんから、しろうお祭の取り組みの経緯をうかがいました。中学生が仕入れから体験する出店があったこと、しろうおのような指コンテストのこと、歌津に観光客に来てもらうための工夫のこと、など。
 
 
シロウオがどの辺にまで遡上してくるか、水深が変わってしまった伊里前川を前に、漁師さん同士の話し合いが行われています。

 
ガラス、陶器、鉄くず、衣類など様々拾うなかで、川底から見つかったのは、なんと流された千葉さんの船の鉤。巻き方が独特なので間違いなく自分のものだという。他にも歌津駅の切符切り鋏と思われるもの。
 
 
軽トラ二杯分を川から集めました。
 
 
河口近くであるため潮の満ち引きに応じて水位が変わり、胴長でなくブーツだと作業しながら足を濡らしてしまうことも。瓦で火を焚いて乾かしました。強風の中、あるきんぐクラブが持ってきてくれた「ヒデ」(赤松のヤニを吸った木片)で焚き木をすると勢いよく火が点きました。
 
この日はかなりの強風。風と水に対する対策の工夫、そのうえで水中や水辺から発見する様々な気付き。災害後の落し物や「思い出の品」に加え、復活しつつある生き物の息吹が見つかります。この日は石の下のハリゲコモリグモの仲間や、枯れ草の間に緑の芽を出す植物を見つけました。そんな活動の全てが、小さな「学び」につながると思います。現場で危険を回避する術を学び、自然の恵みを五感で感じる。それは災害教育でもあり、ほんらいヤマ学校の伝統であるかもしれません。
 
 
石組を積んでシロウオを追い込む「ざわ漁」に使う大きな石が津波で流され足りないと漁師さんは言います。大きな石は大雨で長い間かかって上流から転がってきたもの。シロウオが河床に産卵する場所は石の下。産卵に手頃なサイズの石も流されて少なくなっているらしい。川底のものを拾いながら、石の代わりをする構造物がないか、と考えてみました。たとえばたくさん川に落ちている瓦。土を焼いて作った瓦は、自然物である石にかなり物理性質が近いため、伝統的里山景観のなかでトカゲの日光浴場所になったり蛇の脱皮場所になったりします。ひょっとすると川でシロウオの産卵床の代わりをする人工物があるかもしれない、そんな実験をしてみたらどうだろう、と思いつきました。川学校の一つの課題になるかもしれない。

小学校の先生と話し合うと、川の危険がある程度取り去られ、子どもを連れていけるのはずっと先ではないか、とおっしゃいます。津波でえぐられた下流部は確かにそうかもしれない。であれば、我々大人が代わりに近寄って観察し、つかまえてきた生き物を、ナマのまま岸の上で見ている子どもたちに運んでやればいいかもしれない。何とかして、川の自然の姿を子どもたちに感じて欲しい。そして津波後の課題を、生き物の目線と子どもたちの目線にあわせて一緒に考えたい。それがてんぐのヤマ学校のテーマです。